こんにちは。
今回は、化学の計算を行う際の基本である
「物質量」について
具体的な計算をしながら触れていきたいと思います。
化学についてのイメージを膨らませるときには
複雑な計算をしなきゃ!という気持ちは省いて良いと思うのですが、
実際に実験したり、試験の問題を解くときに
「ここではどうなるんだろう?」
「薬品の量が〇〇gなのは何故だろう?」
と考えるときには、物質量については最低限わかっておく必要があります。
高校の化学では最初に学ぶために、
特につまづく方も多いと思うのですが、
物質量が解れば化学の計算の基礎はバッチリですし、
わかるかわからないかで解ける問題量が一気に変わります。
化学の問題に触れあっていると嫌というほど物質量の計算が出てきます。
なので、一気にマスターしよう!と気張らず、
考え方を身に着けておいて、練習問題に取り組む時に
少しずつ慣れていきましょう!
ここでは、その考え方について触れていきます。
物質量とは?
物質量という言葉は、「物質の量」と区切って考えてみましょう。
例えば、ガムテープがどれくらいあるかを測るときには、長さ(m)を使って測ります。
肥料がどれくらいあるかを測るには、重さ(kg)を使うと良いですね。
では、物質を測る際にはどんな単位を使えば良いのでしょうか。
物質とは、一般的に「1種類の単体もしくは化合物で出来ている」と考えられます。(丁寧に表現すると純物質と呼びます)
例えば、純粋な水は\(H_2 O\)という分子だけが集まってできた化合物です。また、純粋な黒鉛(シャーペンの芯などの原料)は炭素(C)原子のみが結合してできた単体だと考えられます。
物質(の)量は、単純にこの材料となっている「分子」や、「原子」の個数を数えればわかることになります。
長さや重さは、物質の種類によって変わってしまいますが、
個数を数えれば、違う種類の物質でもどちらが多いかわかるので非常に便利です。
物質量=個数
と覚えておいてください。
モル(mol)とは?
では、実際に物質中に含まれる分子や原子の個数は何個くらいになるのでしょうか?
例えば、教室に集まったクラスメートの人数を数えたい!と思ったら、
数分もあれば正確に数えることができるでしょう。
しかし、日本国民の数を正確に数えなさい!と言われたら
実際に指を折りながら数えられる人はいないでしょう。笑
絶えず生まれたり亡くなる人がいるため、正確な人数を暗記する必要もなく、
おおよそ1.27億人と把握することしかできません。
つまり、数える全体の数が多過ぎると、1個や10個程度の変化は把握できなくなり、全体の変化としては無視できてしまうということになります。
1億人や1000万人の規模で数えるときに、1人や2人の変化はよく解らないし意味もないですよね。「1.27億1人」も「1.27億10人」も、だいたい1.27億人です。
化学の世界でも同じことが言えます。
物質量を計算する際の対象は分子や原子です。
これらが目に見えないほど小さいものなのに、身の回りにある目に見えるもの全ての材料だと考えると、果てしない数の分子や原子の数を数えなければいけません。1個1個数えていたのではキリがないほどの量になるんですね。
人口で言えば、「億」や「兆」などの単位を使って簡単にすることができるのですが、分子や原子の数はこの程度では済みません。
そのため、分子や原子を集めて目に見える大きさ(重さ)になるのに必要な個数の基準として、「億」や「兆」の代わりに「mol(モル)」という単位が定められています。
1億は\(10^{8}\)、1兆は\(10^{11}\)ですが、
1 molは\(6.02214…×10^{23}\)という比べ物にならないほど大きな数です。
この大きな数\(6.02214…×10^{23}\)を、アボガドロ定数と呼び、記号では\(N_A\)と書きます。
これだけの個数を集めないと目に見える大きさにならないとは、凄い小さな粒子を扱っていることがよくわかります。
(アボガドロ定数は暗記しなくても、だいたいこのくらいかなーで大丈夫です!)
しかし、億や兆と違って、
1 molはキリの悪い個数ですね。
なぜこのような数になるのかが次の内容になります。
モル質量とは?
1 molほどの個数の分子や原子を集めると、人間も目で見ることができたり、重さとして感じることができるのですが、
分子や原子の種類によって、同じ個数を集めても、重さは変わってきます。
モル質量とは、ある分子や原子を1 mol集めたときの質量です。
1 molあたりの質量になるので、
単位は質量をmol(物質量)で割った、「g / mol」になります。
自然に存在する原子を1 mol集めたときの質量(原子量)の多くは数g~数100gになるため、
複数の原子を組み合わせた分子のモル質量(分子量)やイオン性物質のモル質量(式量)を計算するときも、数10~数100gになる場合が多いです。
アボガドロ定数はmolと重さを結び付ける基準!
原子1個の質量は、こちらで少し触れましたが、
原子の陽子の数と中性子の数で決まり、これらを足し合わせた数を質量数と呼んでいます。
化学の世界では、日常の中ではよく見られる質量数12の炭素原子\(^{12}_{6} C\)、陽子6個、中性子6個)を、相対質量12として、重さの基準に定めました。
この12という数字を、日常的に使われているグラムという単位を用いて、12gぴったりに合わせる為に、どのくらいの原子の個数が必要か調べた結果、アボガドロ定数\(N_A\)個もの個数が必要になってしまった、というわけです。
これによって、その他の原子も、1 mol集めることで質量数にグラムという単位を付けるだけで質量を表すことができるようになりました。
しかし、実際に存在する原子の原子量を計算する場合は、質量数の違う原子(同位体)が混在しているので、原子量が綺麗な整数にはならないものが多いです。
(例えば、Clの原子量は約35.5、Neの原子量は約20.2)
モル質量を計算するには?
モル質量の計算は別ページでまたまとめようと思いますが、
ポイントを載せておきます。
- 「自然に存在する原子のモル質量(原子量)」は試験問題や周期表に載っているので、計算しなくても大丈夫!
- 分子のモル質量(分子量)やイオン性物質のモル質量(式量)は原子量を足し合わせて自分で計算しなくてはいけない!
- 同位体があるときに原子量がどう変化するかを理解する!
まとめ
- 物質量は、物質(化合物や単体)の材料となっている分子や原子の個数
- mol(モル)という単位は、「億」や「兆」のように果てしない数の粒子を数えるための単位!
- 1 molはアボガドロ定数\(N_A\)個の集まり!
だいたい\(6×10^{23}\)個くらい!だいたいしかわからなくて良い! - モル質量とは、1 molあたりの質量(g / mol)
最後までお読みいただきありがとうございました。