原子量、分子量、式量の違いと、モル質量の計算での求め方、使い方をわかりやすく解説!

こんにちは。

今回は、化学の計算分野では必ずと言っていいほど使われる
原子量」「分子量」「式量」について、

それぞれの違いと計算方法、使い方をまとめてみます!

言葉がいろいろ出てきて大変かもしれませんが、
正しく覚えれば簡単に使いこなせるようになります!

なお、原子量などを用いて量的計算をする際には、
モル質量」の考え方を用います。
この記事でも少しおさらいしますが、
復習されたい方や不安な方はこちらの記事をお読みください!

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何に使えるの?

粒子(原子や分子など)の数と重さ(質量)の関係がわかる!

僕たち人間の体重は、人によってそれぞれ異なります。
30 kgの人もいれば、60 kgの人もいますね。

同じように、原子の1個の重さ元素(原子の種類)によって違います

原子はとても小さいので、原子1個の重さの違いを天びんなどで量ることはできません。
しかし、1 mol(\(6.02214…×10^{23}\)個)集めたときの重さは数g(グラム)以上になるため、十分天びんなどで量ることのできる重さです。

このことから、原子の組み合わせてできる分子も、原子や分子が電子の授受によって電荷を持ったイオンも、1 mol集めたときの重さ(モル質量)が、重さを比べるときに大事になります。

原子量分子量式量は、粒子の種類によって名前が分けられていますが、すべてモル質量です。

すなわち、これらを求めたり使いこなすことによって
様々な種類の粒子の重さを比較したり、重さから粒子の種類を判別するのに役立ちます

重さ(質量)は、物質が何かを判別する為にも大事!

皆さんは、仮に目の前に異性がいるとして、
いろんな基準を用いて、どんな異性かを見分けると思います。

「身長」「体重」「顔立ち」「スタイル」「性格」「経済力」「人間関係」etc.
挙げればまだまだありそうです。

しかし、全く同じ人間はこの世に居ません。すべて個性があります。
身長が同じでも顔立ちが違う場合もありますね。
同じようなイケメンでも性格が全然違うとか……。

化学の場合も同じで、全ての物質に個性があり、比べる基準も様々です。

物質の個性には、

  • 色(光の吸収率や透過率など)
  • 硬度(硬い、柔らかい)
  • 匂い
  • 性状(気体、液体、固体など)
  • 質量(重さ)

などいろいろあり、一つ一つの条件を調べることで、どんな物質かわかります。
その中で、質量(モル質量)も物質の個性の一つで、ものによって重さが違います。

なので、モル質量をよく理解し調べることは、物質や粒子が何かを判別する(同定する)為に大切な情報の1つです。

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 原子量、分子量、式量とは?

では、実際にそれぞれのモル質量(原子量分子量式量)が
どのようなものか、またその計算方法について
詳しく見ていきましょう!

まずは下準備

それぞれの言葉について触れる前に、
まずは質量数が決まっている原子のモル質量について考えてみましょう。

原子の項で、原子を構成する材料の中には、陽子中性子と呼ばれる粒子があることを説明しました。

陽子と中性子の質量はほぼ等しく、2つの数を合わせたものは質量数と呼ばれています。

原子にはその他に電子という材料もありますが、電子は陽子や中性子に比べて凄く軽いので、重さには影響がほぼありません。そのため、この質量数によって原子の重さが決まります。

この質量数というのは凄く便利な数で、
質量数がxの原子のモル質量はおおよそx g / mol
になります。

文字で書くとわかりにくいかもしれませんが、具体例を書くとすぐにわかると思います。
質量数12の炭素原子\(^{12}_{6} C\)のモル質量は約12 g / mol (1 molで12 g)です。
質量数35の塩素原子\(^{35}_{19}Cl\)のモル質量は約35 g /mol (1 molで35 g)です。

質量数が同じ原子は、質量数に[g / mol]をつけてモル質量とみなせるので
すぐにモル質量がわかります。

 原子量とは?

では、次に原子量とは何かを考えてみましょう。

上記では、質量数が同じ原子のモル質量について考えました。
しかし、実際は同じ元素の原子(陽子の数が同じ)であっても、質量数は異なる(中性子の数が異なる)原子が混在しています。

同じ元素であるけど質量数が異なる(中性子の数が異なる)原子どうしを、同位体と呼びます。

例えば、炭素は\(^{12}_{6} C\)と\(^{13}_{6} C\)の2つが安定に存在します。
塩素は\(^{35}_{19} Cl\)と\(^{37}_{19} Cl\)が同位体です。
このように、同位体が存在する元素でも1種類の質量数の原子とみなして質量を計算できるようにしたのが原子量です。

原子量とは、「元素ごとに質量数を平均した値」とみなすことができます。
実際に、同位体を持つ塩素を例にとって考えてみましょう!
地球上に存在する塩素原子は、約76%が質量数35の塩素原子\(^{35}_{19} Cl\)であり、残りの約24%が質量数37の塩素原子\(^{37}_{19} Cl\)になります。
2つが混在しているため、塩素原子を1 mol取り出しても、丁度35 gや37 gにはならないのです。

では、実際に質量数の平均値をとって、原子量を計算してみると、
\(^{35}_{19} Cl\)が76%(全体を1とすると0.76)、
\(^{37}_{19} Cl\)が24%(全体を1とすると0.24)なので、

\(35 × 0.76 + 37 × 0.24 = 35.5 \)となります。
1個当たりの質量数が大体35.5になるので、1 mol 集めたときの質量も35.5 gになります。
そのため、塩素原子Clのモル質量は 35.5 g / molになります。

このように、質量数の違う同位体が存在する元素でも、
それらを平均した原子量に [g / mol]をつければ、その元素を集めたときのモル質量になります!


 分子量とは?

次に、分子量について触れていきます。

分子量という言葉は、シンプルに考えて構いません。
分子1個の質量を原子量のように表したもの
になります。分子には質量数という概念はありませんが、分子1個の合計の質量数と考えるとわかりやすい方もいるかもしれませんね。

言い換えれば、
分子量が y の分子を1 mol 集めたときは質量が y gになり、
この分子のモル質量は分子量に[g / mol]をつけて y g / mol となるわけです。
原子量と全く同じように扱えますね!
では、実際に分子量がどのように計算されるかを説明します!

例として、二酸化炭素\(CO_2\)の分子量を計算してみましょう。

\(CO_2\)は、炭素原子C 1個に、酸素原子O 2個が、共有結合でくっついています。

つまり、\(CO_2\)1個の重さは、Cを1個とOを2個足したものになりますね!
CにもOにも同位体は存在しますが、重さ(平均の質量数)を考えるときには原子量を用いれば良いので、

\(CO_2\)1個の質量数(分子量)は、
\(Cの原子量 × 1 + Oの原子量 × 2 \)で計算できます。

実際に計算すると、\(12.01 × 1 + 16.00 × 2 = 44.01\)となります。

すなわち、\(CO_2\)を1 mol集めると、44.01 gになるわけです。
この中には、C原子が1 mol、O原子が2 mol含まれているので、計算とも合いますね!

式量とは?

ここまで、原子の元素ごとの質量数の平均である原子量と、分子の合計の質量数とみなせる分子量について説明をしました。

化学の世界では、そのほかに電荷を持ったイオンが複数の種類で組み合わさって出来る「イオン性物質」と呼ばれるものがあり、
これについて分子量のように質量数の合計とみなせるものを算出したものを式量と呼びます。

式量は、「イオン性物質版の分子量」です。
なので、計算方法は分子量と全く同じです
ただ、イオン性物質は、分子のようにC原子1個とO原子2個で1個の分子、という区切りがありません。

例えば、食塩に多く含まれる塩化ナトリウムNaClはイオン性物質ですが、
これは、陽イオンである\(Na^+\)と、陰イオンである\(Cl^-\)が規則正しく積み重なった構造をしているため、分子のような、1個2個といった区切りがありません。

そのため、NaClの場合は\(Na^+\)と\(Cl^-\)が1:1で含まれていることがわかっているため、Na1個とCl1個を分子1個に見立てて式量を計算します。

NaClの式量は、

Naの原子量(23) +Clの原子量(35.5) = 58.5となります。

このように、式量を計算する場合は、
「材料となるイオンの数の比が一番小さくなるように、分子に見立てて原子量を足し合わせる」
ことになります。

まとめ

  1. モル質量は物質によって個性があるため、物質が何かを見分ける(同定する)ための大切な特徴になる!
  2. 質量数 が x の原子を1 mol 集めると x g(グラム)になる!
    すなわち、質量数が1種類(x)の原子のモル質量は、質量数に[g / mol]をつけて
    x g / mol になる!
  3. 原子量は、「元素ごとに質量数を平均した値」とみなせる!
  4. 分子量は、「分子1個の合計の質量数」として計算できる!
  5. 式量は、「イオン性物質版の分子量」!
    材料のイオンの比がわかれば、分子量と同じように計算できる!

最後までお読みいただきありがとうございます!

ちなみに

高校の教科書などにも書いてある内容で、こちらにも少し記載をしたのですが、

原子量や分子量、式量の正確な定義は、
質量数12の炭素原子\(^{12}_{6} C\)、陽子6個、中性子6個)の質量を基準として12と定め、それに比べると質量はどうなるか調べたもの」

になります。陽子と中性子も精密には若干質量が異なるため、
「原子や分子の平均質量数」と「原子量や分子量」との間には若干の誤差が生じるようです。

しかし、その差異は非常に小さく、
大学入試の問題集などでも
ほとんどが「平均の質量数」(分子やイオン性物質の場合は合計質量数)=「原子量や分子量、式量」と考えて構わないという感想に基づき、この記事をまとめております。

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