第2周期元素の電子配置についてのまとめ、有機化学でも無機化学でも重要な頻出元素の特徴を押さえる!

こんにちは。

今回は、どの分野の化学でも頻繁に目にする「第2周期元素」の電子配置を
1つ1つ図示していきたいと思います。

電子配置がわかることで、その元素の特徴も、できるだけ暗記せずに理解することができます。そのため、このページでは電子配置と共に元素の特徴も交えていこうと思います。

全ての元素の電子配置や特徴を理解する必要はありません。
しかし、この「第2周期元素」は、高校化学はもちろん、その先の化学のどの分野を学ぶ際も関わってくる重要な元素になります。

必ずと言ってもいいほど出てくる元素なのですが、
初めのうちはどうしても忘れてしまったり、特徴が思い出せなかったりして、
先に進む意欲が湧かないこともよくありますよね。

無理をして「覚えよう」と気張るよりは、
忘れたらまた見返そう!という軽い気持ちで取り組んでも、慣れてくればスムーズに頭に浮かぶようになるので、是非気楽に取り組んでいきましょう!

電子配置とは?

原子は、正電荷(陽子)を持つ「原子核」と、負電荷を持つ「電子」で出来ている

原子の構造は、正電荷(+の電気)を持った陽子を含む原子核と、負電荷(-の電気)を持った電子からできています。正電荷(せいちゃん)と負電荷(ふーくん)は惹きつけ合うことができるので(クーロンの法則)、この2つを男女に見立てると、化学は恋愛に例えることができます。男と女が惹きつけ合ってくっつこうとすることで、化学は説明が出来るんですね!

陽子の数によって、原子の種類(元素)が決まる

また、原子の中の陽子の数によって、原子核が持つ正電荷の大きさが変わるため、惹きつけられる電子の数や様子が変わります。これが、化学の性質に直接影響してきます。
このように、原子中の陽子の数で原子の種類を分けたものを元素と呼びます。

例として、中性の原子なら、原子核に4個の陽子があれば、4個の電子を惹き付けることができます!

原子核の用意したお部屋(軌道)に、電子が入る

原子核の周りには、電子が2人1組で入れるお部屋が沢山用意されています。
そのうち、より原子核に近づける内側のお部屋から順に電子は入っていきます。
原子核に含まれる陽子の数と同じだけ、原子は電子を招き入れることができるため、
陽子の数(元素)によって、お部屋への電子の入り方(原子の電子配置)が決まります。

例として、4個の電子がお部屋に入るときには、K殻に2個、L殻に2個の電子が入ります。

希ガス配置(芸術点)を目指す

外側の電子殻が全て電子で満たされた状態を、「希ガス配置」「閉殻構造」と呼びます。
原子はこの希ガス配置を取ることでより美しく、芸術点を貰えるため、エネルギーが低く安定した状態になります。

しかし、原子(陽子の数と電子の数が同じで、電荷を持たない原子)の状態では、電子が足りなかったり多かったりして、希ガス配置を取れないものがほとんどです。

その為、他の原子と電子を共有して(共有結合を作って)分子になったり、電子をあげたり受け取ることでイオンになることで、希ガス配置をとります。

希ガス配置をとれない原子の状態では、エネルギーが高いため存在することが難しいです。そのため、多くの原子は分子やイオンの状態で存在します。元素によっては金属結合を作ることがありますが、これも希ガス配置をとるために放出された電子が自由電子となるためです。

価電子が原子の性質を決める

価電子とは、希ガス配置になるためにあと電子を何個受け取れば(放出すれば)良いかを示しています。そのため、価電子の個数によって、結合の作り方やイオンのでき方に違いが出てきます。

逆に、価電子が同じ原子では、結合やイオンの作り方が似ています。

第2周期元素の電子配置

「第2周期元素」とは?

今回「第2周期元素」を取り上げたのは、
高校化学はもちろん、化学の勉強を進めていく中で重要な元素が多く含まれているからです。
電子配置を初めとして、第2周期元素の性質を知ることで化学の勉強を大きく進めることができます。
下図の色塗りの元素(Li,C,N,O,Fe,Ne)は特に重要な元素です。

原子番号が1個増えるごとに、原子中に含まれる陽子と電子の数は1つ増えます。
「第2周期元素」では、増えた電子はL殻の4つのお部屋に入るのですが、
できるだけバラバラに入るということを覚えておいてください。
クーロンの法則では、同じ種類の電荷(電子と電子)は反発してしまうので、
できる限り離れてお部屋に入りたいのです。

では、以下より、実際の「第2周期元素」では、
電子(負電荷)がどのような配置で、原子核(正電荷)の用意したお部屋(軌道)に入って行くかを見てみましょう!

Li(リチウム)原子の電子配置

Li(リチウム)は原子番号3の元素です。
原子核は陽子を3個もつため、Li原子は電子を3個もちます。

電子は、より原子核に近いK殻のお部屋から順に入っていくので、
K殻に2個、L殻に1個電子が入ります。
この状態が、Li原子の電子配置になります。

ただ、この状態は価電子(ここでは、L殻の電子)が1個あるため希ガス配置ではありません。
そのため、LiはL殻の電子を1個放出することで、
1番外側の部屋がK殻になり、K殻が2個の電子で埋まった希ガス配置をとることができます。
ちなみにリチウムのとる希ガス配置はヘリウム(He)と同じ電子配置です。

電子を放出すると、電子の数よりも陽子の数が1個多くなるので、
Liは正電荷を持ち、1価の陽イオンとなります。

Liは1価の陽イオンになると希ガス配置をとることができるので、1価の陽イオンになりやすい原子です。(このような原子を「イオン化エネルギーが低い」と言います)
Liを含めたアルカリ金属(周期表の1族の元素)はどれもイオン化エネルギーが小さく、1価の陽イオンになりやすい元素です!

Liイオンは陽子も中性子も少ない軽いイオンであり、電荷を運ぶ(電気を流す)ことができるため、リチウムイオン電池として充放電可能な二次電池の主流となっています。
また、Liは金属結合を作ることもできますが、上の理由ですぐにイオンになりたがってしまうので、Liの金属は水や空気とも反応してしまう不安定な物質です。

Be(ベリリウム)原子の電子配置

Be(ベリリウム)は原子番号4の元素です。
原子核は陽子を4個もつため、Be原子は電子を4個もちます。

Li原子から電子が1個増えるため、
K殻に2個、L殻に2個電子が入ります。
この状態がBe原子の電子配置です。

周期表の2族の原子のうち、ベリリウムとマグネシウムを除いた元素を
「アルカリ土類金属」元素と呼びます。
アルカリ土類金属元素は、価電子が2個存在するので、条件が揃えば2個の電子を失って2価の陽イオンになることができます。マグネシウムも2価の陽イオンになります。
また、単体は金属結合を作ります。

しかし、Be(ベリリウム)原子は、金属結合の単体を作ることはできますが、
価電子は、他の2族原子に比べて放出しにくく、2価の陽イオンにはなりづらい原子です。
むしろ共有結合性の強い原子であり、特有の性質も数多く示すため、高校化学では深く扱われない原子です。電子配置をしっかり書ければOKです。

B(ホウ素)原子の電子配置

B(ホウ素)は原子番号5の元素です。
原子核は陽子を5個もつため、B原子は電子を5個もちます。

ベリリウムに比べて更に1個電子が増えるため、
K殻に2個、L殻に3個電子が入った状態がB(ホウ素)原子の電子配置です。

第13族元素は価電子を3個持つため、
電子を3個放出して3価の陽イオンになれる元素です。
アルミニウム、ガリウムなどは3価の陽イオンが安定に存在し、金属としての性質も持ちます。

しかし、B(ホウ素)は3価の陽イオンになることができない例外的な元素なので、これもあまり高校化学では扱われません。

B(ホウ素)原子は3個の電子がそれぞれ共有結合を作ることができるのですが、
これではL殻の電子が6個にしかならないので、希ガス配置を取ることができません。
そのため、残った1個のお部屋を使って独特の性質を示すことができます。
高校の基礎的な範囲からは外れるのでここでは省略しますが、気になる方は「ルイス酸」というワードで調べてみましょう!(機会があればこのブログでも取り上げようと思います。)

ホウ素は、3股を掛ける美人なのでB!と覚えると良いかもしれません。
(ビ〇チのBの方が覚えやすいかもしれませんが…)

C(炭素)原子の電子配置

C(炭素)は原子番号6の元素です。
原子核は陽子を6個もつため、C原子は電子を6個もちます。

K殻に2個、L殻に4個電子が入った状態がC原子の電子配置です。

炭素の価電子は、L殻に4個の電子があるため4個です。
4価のイオンになるには、電子が4個も出入りしなくてはいけないため、炭素原子1個からできるイオンは存在しません。

炭素は希ガス配置を目指すために、4個の原子と同時に共有結合を作ることができます
(1度に4股を掛けることができるわけです笑)

そのため、4個の結合の作り方を変えていくと、沢山の種類の物質を作ることができます。

炭素原子が原料となって共有結合して作られた分子は、他の原料に比べて膨大な数の物質を作ることができます。

炭素が4股掛けて、いろんな原子と結合して、組体操のようにいろんな形を作ることで、無数の種類の物質を作ることができるのが有機化学です!
炭素を使いこなせば有機化学の基礎はバッチリになるほど重要な原子なので、覚えておきましょう!

炭素は木炭という言葉を用いて、
黙々と(木木)、淡々(炭炭)と結合を作ります!笑

N(窒素)原子の電子配置

N(窒素)は原子番号7の元素です。
原子核は陽子を7個もつため、N原子は電子を7個もちます。

K殻に2個、L殻に5個電子が入った状態がN原子の電子配置です。

窒素は大きな電気陰性度を持つため、3個の電子を取り込んで窒化物イオン\(N^{3-} \)を作ることができます。
これは、比較的安定に存在することができますが、高校の化学ではあまり出てこないイオンです。

窒素で重要なのは、L殻の3個のお部屋を使って3個の原子と共有結合を作ることができるということです。
窒素は常に3股を掛けることができます。笑

また、この3個のお部屋を組み合わせて、三重結合を作ることができます。
窒素分子\(N_2 \)は大気中に最も多く存在する安定な分子ですが、
これは2つの窒素原子が3重結合によってがっちり結び合っているからです。

そして、窒素には、他の分子と共有していない、2個の電子が入ったお部屋(非共有電子対)があります。
窒素原子はこの非共有電子対を用いて、他の原子や分子と水素結合配位結合を作ることができます!高校の化学も発展していくと、この水素結合や配位結合が役に立ってくるので、頭の片隅に入れておいてもらえると嬉しいです!

窒素の特徴をまとめると、
背水(「配位」「水素」結合)の陣の姉さん(「N」「3(本の結合)」)
となります!笑

O(酸素)原子の電子配置

O(酸素)は原子番号8の元素です。
原子核は陽子を8個もつため、O原子は電子を8個もちます。

K殻に2個、L殻に6個電子が入った状態がO原子の電子配置です。

酸素の特徴は、窒素と同じように覚えられます!

大きな電気陰性度を持つため、2個の電子を取り込んで希ガス配置になり、酸化物イオン\(O^{2-}\)を作ることができます。酸化物イオンの電子配置は、このページの最後で出てくるNe(ネオン)という希ガスの電子配置と同じです。
酸化物イオンで生じた物質は無機化学でよく登場します!

また、L殻の2個のお部屋を使って2個の原子と共有結合することができます
酸素は2股をかけることができる原子です。

加えて、2個のお部屋を組み合わせて二重結合を作ることができます。
酸素分子\(O_2 \)は二重結合を持った、大気中で安定に存在する分子です。

加えて、N(窒素)原子には1個しかなかった非共有電子対が、O(酸素)には2個存在します。
OもN同様に水素結合、配位結合ができる原子です。

O原子は、N原子のように
背水(「配位」「水素」結合)の陣のお兄(「O」「2(本の結合)」)
と覚えましょう!笑

F(フッ素)原子の電子配置

F(フッ素)は原子番号9の元素です。
原子核は陽子を9個もつため、F原子は電子を9個もちます。

K殻に2個、L殻に7個電子が入った状態がF原子の電子配置です。

フッ素は1個の電子が入れば希ガス配置を作ることができます。
その為、電子を1個受け取って1価の陰イオンに非常になりやすい原子です。
電気陰性度も非常に大きいため、お部屋を他の原子と共有できずに、電子を1個受け取ったフッ化物イオン\(F^{-}\)になります。

一応、フッ素分子というのも存在し、原子2個が共有結合した\(F_2\)の形を取っているのですが、前述の通りすぐに電子を奪ってフッ化物イオンになろうとするため、フッ素分子は非常に反応性の高い危険な分子です。

フッ素の反応性は、フッ化物イオンの性質も影響しています。
フッ化物イオンは非常に小さいため、電荷密度が大きいイオンです。
そのため、フッ素のイオン単独では安定に存在できません。
他のイオンとイオン結合を作ることで安定になろうとします。
そのため、フッ素は他の分子からすぐに電子を奪ってフッ化物イオンになり、イオン結合を作ってしまうのです。
フッ素のように他の分子から電子を奪ってしまう物質を酸化剤と呼びます。
フッ素には非共有電子対が3つ(フッ化物イオンで見れば4つ)存在し、
フッ素の電気陰性度が大きいために水素結合に使われます。
また、金属に対して配位結合する例が知られています。

フッ素原子が陰イオンになりたいがために、フッ素分子は反応性が強いので、注意が必要です。

フッ素のように1価の陰イオンになりやすい元素をハロゲン元素と呼びます!

Ne(ネオン)原子の電子配置

Ne(ネオン)は原子番号10の元素です。
原子核は陽子を10個もつため、Ne原子は電子を10個もちます。

K殻に2個、L殻に8個電子が入った状態がNe原子の電子配置です。

L殻は最大8個までの電子しか入れないので、既に価電子が8個の希ガス配置を取っています!原子の状態で既に外側の4個のお部屋が全て埋まっている元素を、希ガス元素と呼びます。

Neを含めた希ガスは、既に安定な状態なので、誰の助けも必要ない状態です。基本的に結合は作らず、原子単独で存在します。また、原子同士が引き合う力も非常に小さいので、沸点も非常に低く、気体で存在します。

結合を作らず原子単独で存在するため、希ガスのことを単原子分子と呼ぶこともあります。

まとめ

  1. 原子の性質や電子配置を考えるときは、価電子の数に注目する!
    原子は希ガス配置を取るために、共有結合を作ったり、イオンになって存在する
  2. Li(リチウム)は価電子が1個なので、1価の陽イオンになりやすい
    →イオン化エネルギーが低い!
  3. C(炭素)は4本の共有結合を作る!(黙々と淡々と共有結合を作る)
  4. N(窒素)は3本の共有結合を作る!
    3価の陰イオンになったり、配位結合や水素結合も作れる!
    (背水の陣の姉さん)
  5. O(酸素)は2本の共有結合を作る!
    2価の陰イオンになったり、配位結合や水素結合も作れる!
    (背水の陣のお兄)
  6. F(フッ素)は1価の陰イオンになりやすい!
  7. Ne(ネオン)は希ガスなので、結合を作らず、単原子分子として存在する!

電子配置を実際に書けるようになるだけでも、元素の特徴の中でもわかるものが増えてきます!
ただ、このページに書いた内容が、全てこの電子配置が書けるだけで説明できるわけではありません。
もしわからないところがあったら、「そんなこともあるんだなあ」と受け流してください!
気負わず気楽に、まずは電子配置を書けるようになりましょう!

電子配置を書くだけでは理解しづらい内容も少しずつ更新していく予定なので、
勉強が進んで余裕が出てきた方は是非一緒に考えていきましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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